目次
ホイールにできる様々な傷
ホイールは数多くある車のパーツの中でも、人目を引くパーツであると同時に、特に傷がつきやすい部位でもあります。
実際の修理方法を解説する前に、ホイールにできる傷にはどのような種類があるのか見ていきましょう。
ガリ傷
ガリ傷は主に縁石との接触や悪路の走行が原因で発生する削り傷のことです。
小さなかすり傷から大規模な欠損まで、傷の規模は場合によって様々です。
クラック
クラックとはホイールにできるひび割れのことです。
上述のガリ傷を放置したまま走行を続けると、傷が悪化してクラックとなる場合があります。
悪路や無理な運転を避けている場合でも、経年劣化によって生じる場合もあります。
タイヤの歪み
車で事故を起こしたり、悪路を頻繁に走行していると、ホイールの形状がゆがむ場合があります。
特に摩耗の激しいタイヤや、ガリ傷の生じた状態で走行を続けると、ホイール本体にかかる負担が大きくなり、ホイールが歪む危険性が高くなってしまいます。
ホイールは車の安全な走行を支える重要なパーツであるため、小さな傷の段階から早めの対応を心掛ける必要があります。
しかし、修理方法や工程を知らずに、安易に安い修理工場を選んだりDIYに手を出すと、修理前より悪化して取り返しのつかない状態になりかねません。
安全で安心できるドライブのためにも、ホイールの傷のメンテナンスは適切に行いましょう。
ホイールの状態を確認
傷の修理に入る前に、まずはホイール傷の状態を確認しましょう。
状態に応じて修理方法や依頼先が変わってきます。
いくつかの事例を見ていきましょう。
数ミリ程度のかすり傷の場合
縁石との軽い接触で生じた数ミリ程度のかすり傷であれば、比較的簡単に修理が可能です。
市販のパテやコンパウンドを用いた簡単なDIYでも元に戻る可能性のある傷です。
DIYの知識がない場合や、仕上がりを重視するのであれば専門の業者に依頼しましょう。
深く削れているガリ傷
表面が深く削れたり欠けている傷の修理は専門の業者に依頼しましょう。
パテの盛り過ぎや塗りムラといった失敗が起きやすいだけではなく、市販の道具では十分な強度を確保できずに補修箇所が剥離を起こす危険性もあります。
特殊な表面処理が施されている場合
傷ができた箇所にメッキ処理や切削などの特殊な加工が施されている場合は専門の業者に依頼しましょう。
高度な技術が要求されることに加え、市販の塗料や道具では色の再現が難しく、剥離も起きやすいため、DIYで対応できる修理ではありません。
複雑な修理工程の関係上、新品を購入する方が安くなる場合もあるため、事前の確認が大切です。
大きな歪みやひび割れがある場合
ホイールに大きな歪みやひび割れがある場合は、修理ではなく交換が必要になる場合があります。
この段階まで破損しているホイールでの走行は大きな事故に繋がる危険性が極めて高いため、すぐにディーラーや整備工場に相談しましょう。
一見浅く見える傷であっても、接触した際の衝撃でホイールが歪んでいる場合もあります。
DIYを行う場合であっても、一度専門の業者に傷の状態を確認してもらうとよいでしょう。
ガリ傷の修理工程
傷の状態を確認したら実際の修理に入ります。
いくつかの修理方法が存在しますが、ここでは溶接による修理とパテを用いた方法の2つを解説させていだきます。
パテによる修理の工程
①ホイールの洗浄
まずは修理作業の邪魔になる汚れを洗浄します。
ホイールクリーナーや専用の洗浄液を用いて泥汚れや油分を除去します。
②パテで形状を整える
欠損した場所に金属パテを盛りつけて形状を整えます。
ホイール本来の素材と同じ材質のパテを使用することが大切です。
③表面を平らにならす
パテが十分に効果したのを確認後、サンドペーパーや耐水ペーパーを用いて表面を平らにならしていきます。
まずは全体を均一にならした後、細部の調整に入ります。
④塗装作業
塗装の剥離を予防するために、専用の塗装剤で下地を作ります。
特殊な加工が施されていないホイールの場合、クリア塗装やシルバー塗装を行って完成です。
溶接による修理の工程
①ホイールの洗浄
特殊な洗浄液を用いて古い塗装や腐食した箇所の洗浄を行います。
表面にバリが発生している場合は併せて除去します。
下地の状態は全体的な修理の仕上がりに多く影響を与えるため、丁寧な処理を行います。
②溶接
欠損箇所の母材を溶かし、その上にアルミを盛っていきます。
パテを用いた修理と比較すると、密着性と強度に優れています。
熱を与えすぎると母材自体が歪み、逆に強度が落ちてしまうため、緻密な作業が必要です。
③特殊な塗装作業
ガスや電気を用いた特殊な塗装処理により、野外使用時における耐久性を高めます。
錆びや傷に強く、高い密着性を持つ塗膜が作られます。
④足付け作業
塗装の密着性を高めるための足付け作業を行います。
研磨剤を付けながら表面に細かな傷を入れていきます。
凹凸を設けることで塗装と母材が接する面積が増加し、密着性が向上します。